HRT ホルモン補充療法は、更年期の不快症状を解消するだけでなく、将来リスクが高くなる疾病の予防効果も高いというメリットがある反面、ホルモンによる影響の受けやすさには個人差があるため、副作用のコントロールが難しいといったデメリットもあります。
今日は、そんなHRTのデメリットやHRTを受けられない人などについてご説明していきます。

HRTを避けたほうがよい人

女性ホルモンを補充することで病気の悪化や再発リスクが高まる病気の人は原則的にHRTを受けることができません。

HRTを受けられない人

・乳がんになったことがある、または治療中
・子宮体がんになったことがある、または治療中
・血栓塞栓症になったことがある、または、治療中
・血栓性静脈炎
・狭心症や心筋梗塞になったことがある
・心不全や腎不全になったことがある
・脳梗塞になったことがある
・重度の肝臓疾患がある
・原因不明の不正性器出血がある

乳がんや子宮体がんに関しては、エストロゲンがこれらのがん細胞に強く作用して、がん細胞を増殖する働きがあります。
子宮頸がんや卵巣がんに関しては、治癒後5年以上経過し、がんが治癒した場合であれば、HRT適応の対象になることがあるので、医師に相談してみましょう。

HRTが受けられない人は、漢方薬など他の治療法を受けることになります。

HRTを受けるときに注意が必要な人

・喫煙をしている人
・子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、乳腺の病気にかかったことのある人
・糖尿病でインスリンを必要とする人
・高血圧症で降圧剤を服用している人

上記に該当する人は、医師の十分な管理のもと治療をすすめていく必要があります。

子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症のある人は、HRTを受けることによって悪化する可能性がありますが、検査をしながらホルモン剤を調整することで解決できます。

長期使用で乳がんのリスクが少し高まる

HRTは、5年以上の使用で乳がんになるリスクが1.26倍とわずかに上がるという報告はありますが、これは1万人につき8人増える程度で、この割合は閉経が遅い人と変わらないとも言われ、ホルモン治療をしていない人に比べてもわずかな違いです。
ちなみに、50歳以上で閉経した人は、乳がんにかかりやすいと言われています。

誤解してほしくないのは、HRTを受けると乳がんになりやすくなるのではなく、5年以上の使用で乳がんになるリスクが少しだけ上がるということ。
そして、HRTを受けなかったら乳がんにならないということでもなく、HRTを受けなくても乳がんになる可能性はあるということ。

定期的な検診などでチェックをすれば、5年以上も継続は可能で、HRTを受けると快適に過ごせるので実際に10年以上続けている人も少なくないようです。

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不正出血がある

HRTのデメリットとして、出血は多くの人が経験するマイナートラブルです。
ホルモンを補充することで厚くなる子宮内膜を定期的に剥がし、出血を起こすことによって子宮体がんになるリスクを下げるというものなので、医学的にはまったく問題はありません。

しかし、人によってはしばらく周期が安定せず出血が予測できないこともあるので、煩わしく感じてしまうことも。
薬の種類の変更で解決できる場合も多いのと、持続的併用投与法では半年で6割以上、1年で9割以上の人がなくなっているので、出血だけをマイナートラブルとして受け止めないようにしましょう。

吐き気などの不快症状を伴う場合がある

服用の初めに乳房やおなかの張り、吐き気、イライラ、憂うつ感など「PMS(月経前緊張症)」と同じような症状が起こりやすくなりますが、ホルモン剤を調整することによって解決できます。

特に、乳腺はエストロゲンの影響を大きく受ける部位なので、治療中に乳房が痛むことがあります。
心配する必要はありませんが、乳房が張って痛むときは勝手に薬の服用をやめたりしないで、医師に相談して薬の量を減らすなどして様子をみましょう。

使用開始に適さない時期がある

HRTの開始は閉経後5年以内がベストで、最長でも10年以内を目安に始めるのが安心です。
5年以内では、HRTによる副作用が軽減されることが分かってきています。

海外の報告では、60歳以上、あるいは閉経後10年以上たってHRTを始めた人に、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患のリスク増加が指摘されています。
60歳未満の使用なら、リスクは増えないことが分かっています。

ただ、血管の状態は人それぞれなので絶対受けられないというわけではなく、事前に検査を行って動脈硬化や血栓症のリスクが低いと医師が判断した場合は、閉経後10年以上たっていても可能である場合があります。
ただし、心筋梗塞になったことがある人、血栓症がある人は受けられない場合も。

なお、膣の乾燥など局所の不快感が主な症状の場合は、膣に入れて局所に作用させる膣剤や、作用の弱い飲み薬も有効です。

きめ細かな対応ができる医師が限られる

主に持続的併用投与法の初期に起こる「不規則な出血」は、治療中の人にとっては不快な症状に感じる場合が多いようです。
低用量に替えるなどで調節は可能ですが、体の状態に合わせたきめ細やかな対応が必要になり、実際にそこまで細やかに対応してくれる医師が多くないのが実情です。

ただ、医師もひとりの人間なので、自分と合う、合わないなどの相性もあると思います。
分かってくれないなら仕方がない・・・ときっぱりあきらめて、思い切って他の病院を受診してみるなどの対応も必要です。

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