HRTホルモン補充療法を始めると気になるのが副作用ですよね。
いつまで続くの?と不安になりますが、胸、腹部の張り、吐き気、むくみなどのマイナートラブルは、ほとんどの場合が3か月程度で治まります。
その他、乳がんになるリスクが高まる?太りやすくなる?不正出血は心配しなくて良い?他にも副作用がある?
気になる4つの「それってホント?」についてご紹介していきます。

乳がんになるリスクが高まるってホント?

HRTといえば乳がんになるリスクを心配する人が多いのですが、HRTを開始して5年未満なら、乳がんのリスクはほぼ上がらないというのが世界的な評価です。

HRTががんのリスクを上げるという認識が広まったのは、「乳がんの発症率が事前に設定していた危険ラインを超えた」という理由で、米国で行われていた大規模臨床試験が2002年に急遽中止され、日本でも大々的に報道されたためだと言われています。

米国で行われていた大規模臨床試験の結果
HRTを平均5.2年受けた人の乳がんの発症率は1万人あたり年に38人で、HRTを受けない人の30人に対して8人増加したことに。
HRTが4年以内であれば、乳がんの発症に差はありませんでした。

ただし、もともと米国の乳がん発症率は日本の3倍以上であること、この調査に参加した米国人女性の肥満度や喫煙率が高かったこと、HRTの開始平均年齢が63.3歳と乳がんなどの病気発生のリスクが高い年齢であったことなどを考慮すると、この結果をそのまま単純に日本人の場合に当てはめることはできないと考えられます。
そして、日本人では乳がんのリスクを上げるという報告もありません

現に、乳がんリスクを調べた研究で、HRTを受けることによる乳がんリスクよりも、閉経前に体重が増加した場合は、そうでない人の2倍近く乳がんリスクが高くなるというデータがあります。
さらに、閉経が遅い、第一子の出産が遅い、ウエスト・ヒップ比が高い(メタボ)という場合の方が、乳がんリスクが高いことも分かっています。
つまり、HRTホルモン補充療法を行うことよりも、生活習慣の要因のほうが乳がんリスクに影響を与えるというわけです。

その後の解析で、エストロゲンと黄体ホルモンを併用する投与法を5.2年以上続けた場合、乳がんのリスクは1.26倍とわずかに上がることが分かりましたが、これは1万人につき8人増える程度で、5年未満ならHRTをしなくても起こる乳がんのリスクと変わらないことを意味します。

ごく少量を使うこと、黄体ホルモンを併用すること、年に1回の婦人科検診を受けることなどにより、その心配はなくなっており、むしろ乳がんに関しては危険性が減るというデータもあります。
また、薬のタイプとして作用が弱い「エストリオール」の使用では、乳がんのリスクはありません。

子宮体がんは、黄体ホルモンとの併用投与法で子宮内膜の異常増殖を予防できるため、リスクは上がりません。
また、大腸がんは、HRTを行うことによってリスクが下がるとされています。

ただし、エストロゲンは子宮体がんの発症、黄体ホルモンは乳がんの発症に関与していることは確かです。
そもそも50代は乳がん、子宮体がんともHRTの使用の有無にかかわらず発症リスクが高い年代なので、万一のために、HRTの使用中は年に1回必ずがん検診を受けるようにしましょう。

太りやすくなるってホント?

HRTホルモン補充療法を始めると太りやすくなると思っている方もいると思いますが・・・
薬が原因で太ることはありません。

更年期の40~50代は、代謝が落ちる年代なので、これまでと食べる量や運動量が変わらなければ太りやすくなります。
また、HRTで不快症状が改善された結果、食欲が増して太ってしまうことも。

更年期以降は肥満になりやすいので、食生活を見直して、適度な運動を心がけることが必要です。

不正出血は心配しなくて良いってホント?

HRT期間中に起こる出血は、薬の作用によるものがほとんどですが、中には病気によるものもあります。

周期的併用投与法で休薬中に起こす「消退出血」は黄体ホルモンによるものなので、医学的に問題はありません。
出血を起こす服用法なので、毎月定期的に2日~数日、月経のような出血が起こります。
黄体ホルモンを服用して10日目前後に出血が起こりますが、予定より早い時期に出血があっても驚かず、薬は決められた期間のみ続けることが大事です。

持続的併用投与法は、出血が徐々になくなる投与法ですが、閉経1~2年にこの投与法を開始した人の約90%に予期しない不正出血がみられます。
不正出血の頻度は閉経からの経過時間に伴って減ってきます。
薬の量や開始時期によって個人差がありますが、半年で6割以上、1年で9割以上の人がなくなっています。

ただし、持続的併用投与法で初期に起こる出血は、薬による出血なのか?病気による出血なのか?自己判断が難しく、子宮体がんなどの可能性もあります。
医師が経過を把握しやすいよう出血の量や期間を記録して、病院で診察してもらいましょう。

また、あまりに出血の頻度や量が多くて困るときも病院で診察してもらいましょう。

HRTの出血で妊娠の可能性はあるの?
HRTを行うと月経のような出血が起こるので妊娠する可能性がある?と心配になるかもしれませんが、妊娠の可能性はありません。
女性ホルモンを補充することで、子宮内膜が月経と同じような現象を起こしているだけで、一度衰えた卵巣機能が復活したわけではないからです。
ただし、閉経しておらず、卵巣機能不全のためにHRTを行っている場合は、排卵が起こり妊娠する可能性があります。

他にも副作用があるってホント?

おりものや胸、腹部の張り、吐き気、イライラ、むくみといったマイナートラブルが起きる場合があります。
これらの症状は使い始め3か月以内のことが多く、一般的には短期間で治まります
薬の形状やホルモン量によっても異なるので、長く続くようであれば薬の種類を替えたり、量を加減したりすることで治まることがほとんどです。

また、女性ホルモンの影響を受ける子宮内膜症や子宮筋腫、乳腺症などの病気がある人は、HRTを行うことで閉経後におさまっていた症状が再び出てくる可能性があります。

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