更年期障害の治療法であるHRT(ホルモン補充療法)は閉経前でも受けられますが、女性ホルモンを補う治療法として、閉経までは低用量ピルを使い、閉経後はHRTに切り替えるという形が推奨されています。
ピルといえば「避妊薬」というイメージが強いですが、実は月経不順や月経困難症、PMS(月経前緊張症)などの治療にも使われている他、閉経までの更年期障害の治療にも使われているのです。
では、女性ホルモンを補うことは同じなのに、HRTとピルはどこが違うのでしょうか?

閉経までは「ピル」を使う

ピルは、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を化学的に合成した飲み薬で、排卵を起こさないようにする避妊薬です。
女性ホルモンの含まれる量によって高用量、中用量、低用量に分けられますが、現在はほとんど副作用のない低用量ピルが主に使われています。

ピルを飲むことで得られるメリットは避妊だけではなく他にもたくさんあるのですが、更年期に服用するメリットを挙げると、

・ピルには体内のホルモンを一定に保つ働きがあるので、低用量ピルで不足している女性ホルモンを補ってあげることによって、更年期になって卵巣の機能が低下しても、ホルモン分泌量の急激な減少を避けることができるため、ホルモンが減少することによって起こる更年期障害の予防に効果がある。

・生理周期が規則的になるので、更年期特有の生理不順が解消され、卵巣がんや閉経期以降に増える骨粗鬆症の予防にもなる。

・更年期の症状が起こる前からピルを飲んでいると、自分はいつ更年期なのか?気づかないほど、症状が出ない、あるいは症状が軽い場合がある

・更年期の症状が出てきてから飲み始めても、症状の改善が見られる。

などがあります。
更年期の症状をできるだけ軽く抑えたいという人は、閉経までの間に低用量ピルを服用するのもひとつの方法です。
ただし、低用量ピルが使えない人もいるので、医師に相談をしてください。

低用量ピルからHRTに切り替える時期

低用量ピルは、HRTより6~8倍もホルモンの含有量が多いため、閉経後に服用したり、40歳以上の喫煙者が服用すると血栓症を起こすリスクが高くなります
そのため、閉経したらピルを使い続けるのはやめ、ホルモン量の少ないHRTに切り替えることが薦められています。

いつ切り替えるかは人それぞれですが、45~50歳が一応の目安
ただ、どうしても避妊が必要な場合は、医師と相談して閉経までピルを使い続けることもあります。

閉経後は「HRT」に切り替える

閉経前は低用量ピルを使って、閉経後はHRTに移行していけば、更年期の症状が出ても軽く済みます。

低用量ピルを使っている人は、薬で月経を調整しているので閉経時期が分かりません。
そのため、40代後半~50歳になったら、定期的に血液検査で女性ホルモン値を測って確認することをおすすめします。
いったん休薬するか、次の新しい低用量ピルのシートを飲む前日に測るなどの方法で、自然の卵巣機能の状態をチェックしましょう。
一旦ピルの服用を中断して測定した方が確実ですが、その際はPMSや避妊に注意が必要になります。

検査の結果、卵巣の働きが低下している数値で、閉経が近い、または閉経したことが確認された場合は、ピルの必要性はないので中止し、HRTに切り替えることを医師と相談しましょう。

女性ホルモンの値について
主に「E2(エストロゲン)」「FSH(卵胞刺激ホルモン)」の数値によって、HRTを開始するかどうかという目安になります。
血液検査で調べることができますが、ホルモン値は一定ではなく、同じ人でも測定時期によって差があるので、1回の血液検査で判断することはできません。
そのため、血液検査は間隔をあけて2回以上受けることをおすすめします。

また、経腟超音波検査をすると、卵巣内の卵子の状態などを確認することができます。
血液検査の結果だけでなく、卵子の状態、更年期症状の強さなどを総合的に見て更年期かどうか、閉経しているかどうかを判断するのが一般的です。

E2(エストロゲン)=通常20~500pg/ml、閉経後20pg/ml未満になり、この値に近いほどHRTに適応するということに。
FSH(卵胞刺激ホルモン)=通常10mlU/ml未満、閉経後30~50mlU/ml以上になります。

閉経前でもHRTは受けられる?

まだ閉経していないのに更年期の症状が出てつらい場合、月経不順で、血液検査をして明らかにエストロゲンが減少し、脳から卵巣に指令を出す卵胞刺激ホルモン(FSH)の値が上昇しているなら、HRTを受けることができます。
それほど数値が下がっていない場合でも、更年期の症状がつらい場合は、治療を始められることがあるので、更年期の不快な症状がある時は、まずは婦人科を受診て医師に相談してみましょう。

ただ、少ないながらもまた自分の卵巣から出ているホルモンと、外から投与するホルモンとの相互作用で、予定していない時期に不正出血が起こりやすくなります
この場合、薬を変えるなどの対応で解決することもあるので、医師に相談することをおすすめします。

「ピル」と「HRT」の違い

低用量ピルは、卵巣が活発に働いている人に使う薬なので、それに見合うホルモン量が入っています。
更年期に使う場合は、血中濃度を一定に保つ働きがあります。

一方、HRTは、卵巣機能が衰えて女性ホルモンが減少している人に使う薬なので、体がホルモンの減少に無理なくついていけるように、ごく少量のホルモンが入っています。

HRTは、ピルに比べるとホルモンの含有量がずっと少なくなっているのです。

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